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治療のヒント5)  気候と体調

5-1 刺激量と反応

マッサージを受けた場合の強さは、どの位が良いのか?
それは「痛いけど気持ち良い」程度が正解です。刺激の感じ方は人によってずいぶん差があります。軽い刺激でも痛く感じる人もあれば、強い刺激でも物足りなく感じる人もいます。また、左右で感じ方が違うこともあれば、一部分だけ過敏に感じられることもあります。ですから適度な刺激量はその都度「気持ち良い」強さだといえます。
いつも強い刺激を受け続け、慣れてしまうと強刺激でも何とも無く感じます。力士の足の裏やペンダコは典型的です。体は強刺激に対抗して体を守ろうと皮膚や筋肉を硬くします。人が強い刺激を求め続けるとそれに慣れてしまい、満足するためにもっと強い刺激を求めるようになります。マッサージの時にも強い刺激でないと体が緩んでこないようになり、さらに体が硬くなるという悪循環になってしまします。
そんな場合は、多少不満があってもハリでの刺激に変えて何回か治療すると緩んでくるので、その後にマッサージを再開する方法があります。コリなどを一気に取り除こうと刺激を多くすることで、逆に体を硬くしてしまうことがあることを理解していただきたいと思います。
ハリも刺激量が多すぎると、揉み返しのような筋肉痛や症状が激しく出てしまうこともあります。特にハリの初心者には注意を払っています。体がどのように反応してくるかは人によって違うので、慎重に治療を行います。体の反応は遅れて出てくるものも多いので、治療直後と次の日での状態の変化に気を付けて治療しなければなりません。
同じような症状でも時によっては痛みや辛さの感じ方が違うことも経験します。辛かった場所が変わったり、その場所に辛さを感じなくなることもあります。本当に改善したのか、単に麻痺しただけなのか分かりません。触ってみるとコリがひどかったりすることもしばしばあります。その場合、放っておくと後で更に酷い症状となって襲ってきます。要注意なケースです。
体の反応は様々ですので、その時々に合った、タイミングの良い治療を行いたいものです。
ハリでもマッサージでも適度な刺激量は難しいものです。


5-2 季節・気候と体調

季節の変わり目に体調不良を訴えられる方が多くなります。真冬や真夏といった、いかにも体にとって厳しい季節よりも、春から夏、今の時期のように夏から秋へと季節の変わり目の時期の方が体にこたえるようです。過去の怪我や腰痛などの持病が顔をのぞかせることが結構あります。体が気候の変化に対応しにくいのでしょう。気候の中でも低気圧の移動によるものが一番影響を与えているようで、実際におばあさんの神経痛の具合による天気予報は当たる確率が高いと言えます。東京では大阪あたりで雨が降っているような、これから低気圧が移動してきそうな日がそれです。台風シーズンの秋はご自身に持病や古傷をお持ちの方やコリ易い体質の方にとっては受難の時期ともなります。


5-3 桜の季節

お花見の季節といえば春ですが、春は体調不良となることの多い季節でもあります。桜に関係した言葉では、「花冷え」「花散らしの雨」、春全体に関係しては、「春に3日の晴れなし」「春の嵐」などの天候の変化に関連した言葉が多くあります。つまり、低気圧や前線が繰り返し通過して行く不安定な気候を示しているのです。体は気圧の変化に影響を受けやすく、また気温の変化に対応して行くことも大変です。そのため春に体調不良となることが多くなります。
一方で春は「木の芽時」といって植物が新芽を出す季節でもあります。人間にも自分自身の古傷や、落ち着いていた以前の病気の芽が顔を出すこともある季節です。やはりこれも気候の影響が考えられます。冬の寒さが終わり、精神的・肉体的にもほっとして緊張感が緩むのも春ですが、そんな時に「気持ち」だけで長い期間抑え込んでいた不調が顔を出す場合です。
長い間不調を抑え込んでばかりいると、体がそれに耐えきれなくなった時に思いがけず厳しい病気の症状となって現れてくることもあり、不調が出てくることはそれ程悪い面ばかりではありません。「大噴火」が起こる前に「小噴火」を起こして「ガス抜き」をしておく方が被害が少なかったりします。
いずれにしても、こまめな体調管理が必要なのが「桜の季節の春」であるといえます。


5-4 夏の腰痛

腰痛は以前は冬の時期に多くみられるものでした。寒さで筋肉が硬くなっていたり、足元の冷えで誘発されることが多かったためと考えられます。しかし、クーラーが一般的に使われるようになってから、夏季にも腰痛が頻発するようになっています。これもやはり足元の冷えが要因だと思われます。鍼灸で使うツボの系統では、「腎」に関係するツボが腰痛に使用されます。「腎」のツボの系統は足の裏の「湧泉」から始まり、フクラハギの内側を通って腹部や胸部に達します。このため足元の冷えが下腹部にも影響するとされ、腹部の「弱り」がその裏側に位置する腰にダメージを与えるのです。また、腰の上部には「腎兪」というツボもあり、やはり「腎」と関係しています。腰痛の場合はこの部分に痛みやコリといった反応が多く見られます。これらのツボを使いながら腰痛の治療を行います。不自然な冷えのために夏季の腰痛は治りが悪い場合も多く見られます。シャワーを使うことが多い時期ですが、湯船につかってみると足が冷えていたことが自覚できます。腰痛の予防や治療には足湯や半身浴など、夏特有の冷えの解消が役立ちます。また、汗は体を冷やす役目があって、注意しないと思った以上に筋肉が冷えて腰痛を起こすケースもあり注意が必要です。


5-5 花粉症のツボ

最近何かと話題の美容鍼ですが、特に美容として取り上げるまでもなく昔から顔や頭に鍼をするのはごく普通の事です。美容効果があると謳っているわけは、鍼をすることで血液循環が良くなったり、コリやむくみが改善して顔がスッキリするためです。健康を取り戻すと血色もよくイキイキとした表情になるのです。
ですから、花粉症や顔のむくみ、頭痛などで来院される方々にも同じ効果が期待できます。
季節的に花粉症が多くなってきていますが、花粉症で良く使用されるツボは以下の通りです。
真っ直ぐ前を見た状態で、瞳の真下のライン上には、
「四白(しはく)」・・下瞼のすぐ下、「巨髎(こりょう)」・・鼻の横の高さ、
また小鼻のすぐ横の「迎香(げいごう)」などは「鼻づまり」のツボです。眉毛の間の直ぐ上の「印堂(いんどう)」や、顔の真ん中から頭へ伸びるライン上に髪の生え際の少し上の「上星(じょうせい)」、同じく頭の中心の「百会(ひゃくえ)」も鼻のトラブルに効果があります。
顔面・頭のツボのページも参考にしてください。
顔や頭にあるツボは圧してみて「ツン」と響くところがツボとなります。鍼や灸が効果的な場合もありますが、圧すだけでも緊張がとれたり、鼻の通りが良くなったりします。
もちろん顔面や頭のツボだけでなく、首と頭の付け根付近、両肩甲骨の間や背中の上部は呼吸器系の疾患のツボですので、併せて使用するとより一層の効果を期待できます。