頭・顔・首のツボ
頭部には色々な疾患に利用するツボががたくさんあります。下の図の⑪頷厭は目の疲れだけでなく、精神的緊張・顔面神経麻痺等にも使われ、①百会は痔疾患にも使われるオールラウンドなツボ群です。頭部はブヨブヨとしていたり、スジ張っていたり、デコボコがあったりします。圧すとツンと痛みを感じるポイントもあります。頭部の治療は肩や首のコリに関係している場合も多く、治療を加えると症状が和らいでくることを実感できます。
顔面・頭・首のツボ
①百会(顔の真ん中、頭の頂上) ②上星(顔の真ん中、髪の生え際から少し上)
③攅竹(眉毛の内側の端) ④睛明(目の内側の端の内側)
⑤瞳子髎(目の外側端の外) ⑥四白(目の下方、瞳孔の真下)
⑦迎香(小鼻の際) ⑧巨髎(小鼻の外側、瞳孔の真下)
⑨下関(顎の関節部分) ⑩頬車(顎の骨の角)
⑪頷厭(コメカミ部) ⑫<眉毛の上全体を数カ所に分けて押さえる>
⑬完骨(耳の後ろにある骨の後側のクボミ)
⑭風池(ウナジの中央部毛の生え際のクボミ)
⑮天柱(後頭部、首の筋肉のキワ) ⑯天窓(顎の角の後ろのクボミ)
⑰扶突(首の真ん中あたり、筋肉の上) ⑱聴宮(耳の前、顎関節の際)
⑲耳の裏側付近で圧痛やスジを感じる部を押さえる
⑳側頭部で圧痛やスジを感じる部分を押さえる
疲れ目・目の奥が痛い・焦点がぼやける
3,4,5,6といった目の周囲のツボは眼精疲労が原因のこれらの症状に対して有効です。目の周囲には目の動きを行う筋肉があり、それらの疲労を取り除くために上から軽く圧迫するだけでも結構痛く感じます。マッサージとしては眉毛の上全体、12を行います。同時に首の治療も欠かせません。13,14,15のポイントは必須です。目と関係の深いツボが腕や手に存在します。腕の曲池、手の合谷といったツボも効果があります。
耳鳴り・難聴
耳鳴りや難聴などの耳の疾患に対してハリ灸が効果的な場合があります。この場合も首の緊張が強く、頭の耳の周りの部分もスジ張っケースが多く見られます。やはり首の治療も欠かせません。首の13.14.15.17、耳の周りの16.18.19、頭の11、20も必要です。この他、耳や17周囲にはツボが多くあり、その周囲全体の緊張緩和が必要です。マッサージであれば耳の周囲に限らず、頭・側頚部全体をマッサージします。
鼻炎・花粉症
鼻炎・鼻づまりの治療も首の緊張緩和を加えます。鼻の周りのツボだけでなく、頭にも鼻の疾患に有効とされるツボがあります。また、背中の両肩甲骨の間も鼻の疾患には重要です。そこにお灸をすることもあります。首と頭の境の13,14,15のポイントはここでも必要です。鼻のわきの7、頭の1,2首の17,を使います。花粉症には眉毛の間の「印堂」も加えます。背中の肩甲骨の際に沿った「膏肓」、背骨の上の「身柱」、その脇の「肺兪」なども必要となります。鍼灸が主体となります。顔面部のドレナージュも効果があります。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺にも鍼灸治療を行います。ここでも首の治療は欠かせません。首の13,14,15,16,とその周囲のツボ1,6,9,10,20,付近を主として使います。顔全体の軽いマッサージも加えます。顔のむくみに対してはリンパドレナージュが効果的です。鎖骨の上のクボミから始めて、側頚部、顎の下、唇の下、頬、小鼻など順を追ってドレナージュをします。この場合にはツボを意識せず、リンパ管の走行を頭に入れて顔面部と頭部をドレナージュして行きます。
腕のツボ
①合谷 (親指の付け根) ②曲池 (肘関節のシワの親指側の端)
③手の三里 (曲池の下方) ④天宗 (肩甲骨の中心)
⑤中府 (鎖骨外側端の下) ⑥孔最 (肘の端から親指に向かって下がる)
⑦少海 (肘のシワの小指側の端) ⑧内関 (真ん中のラインで手首の上)
⑨親指の付け根のふくらみ
腕にもたくさんのツボがあります。腕自体にトラブルがある場合でけでなく、色々な病気とのかかわりを持っています。鍼灸では①などは「ものもらい」や疲れ目などの目の疾患に良く使用されるツボであり、肩こりなどの場合も頻繁に使用されます。また口内炎のような胃の不調の場合にも使用います。②や③は高血圧の場合にも使用され、上がった「気」を下げる役割を果たすとも言われます。④は「お乳の出を良くする」など乳房に関係していたり、⑤は呼吸器系に関係しているとしています。
腕自体が張っていて痺れやだるさがある場合に、点線で示した反応のある部位をマッサージすることで症状が緩和されることも経験します。ゴルフなどで手を握りしめる事が多い方は、⑨がパンパンに張っている場合も多くあります。
口内炎
①のツボだけを使用するのではありませんが、①にお灸を続けると口内炎が収まってくることも経験します。鍼灸では口内炎は胃に熱を持っているという言い方もします。①は大腸経に所属しているので消化器系に働きかけていると考えられます。①の近くの「二間」や手首の上方にある「温溜」というツボも同様に大腸経に所属し、口内炎に良く効くと言われています。