筋力強化のために
膝をケガをした後のリハビリ運動の目的は膝の動きに関係した筋力の強化にあります。この時に注意しなければならないことは、大きな負荷を一気にかけて筋力強化を図らないことです。負荷を徐々に増やしながらゆっくりと筋力強化をしていきます。そうでないと再び損傷を繰り返すことになります。ここでは負荷の強度を3段階に分けて行う例を提示します。このプログラムはケガだけでなく、様々な理由で脚の筋力が落ちた場合にも有効です。
負荷の程度:
①負荷をかけないで、等尺性(アイソメトリック)運動や重力を利用して行う
②体重の50%程度の負荷をかけて運動を行う
③体重を完全にかけて行う
負荷をかけないで:
負荷をかけないで行う場合には、仰向けになり、膝の下にクッションを置いて、膝が軽く曲がる状態にして行います。筋肉に力を入れますが、全くまたは軽くしか脚を動かさない「等尺性運動(アイソメトリック)」が主となります。
①その状態で足先を上下に力を入れてゆっくりと動かす
②拮抗筋の同時収縮
膝を動かさないで保持したまま足先を上げる。足の裏が壁についているので足で押そうとしても膝が伸びていかないというイメージで、かかとで押し出すように力を入れる。しかし実際にはかかとは床に着けたまま動かさない。床に対しても圧を加えない。そうすることで下腿の筋肉全体が緊張する。
③拮抗筋を収縮させた状態から膝裏やかかとを小刻みに動かして、クッションなどを叩くような動作を行う。
④ケガをしていない方の脚を伸ばし、ベッドに押し付けるように力を入れる。ケガをした方の脚は股関節を90°に曲げ、タオルを大腿に引っ掛けてその状態を保持する。
かかとを上に向けて伸ばすように押し上げる。膝裏が伸びる感覚で。
かかとを上に向けて伸ばすように押し上げる。膝裏が伸びる感覚で。
椅子やベッドに腰かけて:
椅子やベッドの端に座った状態で行う動作は、背筋を伸ばし、両手を大腿の傍に置いて体を支えます。
⑤足を上げ、膝は曲げたまま椅子から少し持ち上げる。それから膝を伸ばし、かかとを押し出し、大腿は座面に押し付けるように力を入れる。
⑤足を上げ、膝は曲げたまま椅子から少し持ち上げる。それから膝を伸ばし、かかとを押し出し、大腿は座面に押し付けるように力を入れる。
うつ伏せになって:
骨盤でベッドを押しつけるようにしながら行います(腰のトラブルのある方は要注意)
⑥かかとを押しやるようにしながら膝を伸ばしたまま大腿を上へ持ち上げる。それから膝を曲げ、大腿をベッドに戻した後、押し付ける。
⑥かかとを押しやるようにしながら膝を伸ばしたまま大腿を上へ持ち上げる。それから膝を曲げ、大腿をベッドに戻した後、押し付ける。
横向きで:
ケガをした方の脚が上。良い方の脚は下になって膝を曲げ、腕も使って体を安定させる。
⑦上になった脚を伸ばして上へ(体の横側方向へ)持ち上げ、足先方向へ押しやる形で力を入れる。そのまま脚を後ろ側へ動かす。
⑦上になった脚を伸ばして上へ(体の横側方向へ)持ち上げ、足先方向へ押しやる形で力を入れる。そのまま脚を後ろ側へ動かす。