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14)圧迫治療用品

14-1 圧迫弾性包帯

リンパ浮腫の治療、特にむくみを減らしていく段階での圧迫療法では、弾性包帯・テープは欠かせません。その時に使用する包帯は弾力性が有りますが伸び率60%程度以下の低いものが最適です。それ以上の伸び率の高い弾性包帯は圧が作用する時に違いがあるので効果的でなくなります。弾性包帯を巻く場合には皮膚を保護する筒状ガーゼや、クッションと圧力を均等に配分する役割を持った綿ロールやスポンジなど、一緒に使用する部材もあります。
詳しくは浮腫の圧迫療法のページをご覧ください。


14-2|弾性圧迫着衣

 

圧迫ストッキング

圧迫用のストッキングにはベルト付と付いていないものがあります。下肢リンパ浮腫の場合は一側性に現れる割合が両側性に現れる割合よりも高く、左右の太さに差があるので片方に圧迫ストッキングを着用することが多いといえます。またリンパ浮腫の圧迫力は静脈瘤などでの圧迫力よりも強いのでストッキングのつま先があいている物が一般的です。 
 

圧迫スリーブ

圧迫用スリーブには手の甲までつながっているものと、手首までのものとが有ります。手首までの場合は手の甲や指などに「むくみ」が出る場合がありますが、水仕事をする場合などには便利です。圧迫用グローブにはミトン手袋や指まである手袋もあり、手の甲や指までむくみのある方は症状に合わせて併用する必要があります。上腕・二の腕にむくみが多い方は肩口にひもなどの滑り落ちを防ぐ付属品のあるものが便利です。


14-3|圧迫着衣の違い

  
 

本来のリンパ浮腫治療の進め方は、①集中的に治療して「むくみ」を出来るだけ減らす、②その「むくみ」の少ない状態を維持する、というものです。維持する段階に入ったらきちんとその状態に合ったサイズのストッキング・スリーブを着用する事が大切です。
しかし「むくみ」の状態は人によって差が激しく、むくみの強い部分にも個人差があり、レディメイドのものでは適さない場合があります。その様な場合にはオーダーメイド(特注)のものを着用します。特注の着衣の生地は平編みという、レディメイドのものの多くは丸編みという方法で製造されています。生地の厚さや風合が異なっています。  


    

リンパ浮腫の際の圧迫着衣は体の組織圧を高め、新陳代謝時のリンパ管の働きに良い影響を与えリンパ液が流れる量を増やします。一方で運動時にはリンパ液(静脈液も)の心臓への還流が多くなり、着衣の下にある硬くなっている結合組織を柔軟にします。これが圧迫着衣の持つマッサージ効果です。
しかし、浮腫の場合の脚や腕の形・デコボコ・大きさは人によって異なり、長さや周径も違うのは当然です。そのため理想的な圧迫衣類・ストッキング・スリーブは採寸を行ってその人の患肢の長さや形に合わせて造られるものといえます。長さが短ければズリ下がり易く、下がった部位に生地が集まって患肢を締め付けリンパ液の流れを悪くしますし、長すぎれば生地に余りが出て、やはり締め付けや擦過傷を引き起こします。また、ずり落ち防止のベルトをとりつけたり、圧のかかりにくい部位にパッドを埋め込むなどの工夫も可能です。適切な大きさと長さは圧迫衣類の必要条件といえます。
リンパ浮腫では通常静脈瘤などより高い圧のものを使用します。規定によれば圧迫力が34~46mmHg程度が標準ですが、年齢・併発症・障害などが考慮されて選択されます。日本では医師からの「指示書」があれば健康保険適用になりますが、その際の標準圧力は30mm/Hg以上が設定されています。
例え採寸時に適正な値が得られても、浮腫の増減が起きてしまえば不正確となってしまいます。ですから採寸してオーダーメイドのストッキング・スリーブを作る場合には、浮腫治療を集中して行って充分にサイズダウンさせた後でないと効果が低くなってしまいます。
更に、圧迫ストッキング・スリーブの理想的な素材は上述の平編みを縫い合わせて形作られたものです。既製品で一般的に多く使用されているものは丸編みの製品で、オーダーメイドの平編みの製品は生地自体は厚く出来ていますが、編み目が大きく通気性には優れています。
圧力は同じでもメーカーによって生地の風合いが違っており、好みや装着時の感覚も異なるので試着してみることも良いかもしれません。
以上の事柄は圧迫ストッキング・スリーブなどの着衣に関する注意時事項です。